ハンドリーマーの汚染に関する実状調査と各種薬剤の消毒効果について
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概要
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衛生学的立場から歯科診療に使用する, 小器具類の汚染状態を把握し, これらの薬物消毒法について検討を行うため, 診療に煩用されている, ハンドリーマーを選び, この消毒法に対するアンケート調査を, 全国の開業歯科医師のうちから1050名を無作為に抽出して行なった。汚染状態については, 東京の歯科医院11カ所について調査を行ない, 同時に5種類の消毒剤について7種類の供試菌株に対する消毒効果ならびにハンドリーマーの消毒剤に対する腐蝕性について検討を行なった。以上のことから次の結果を得た。1) ハンドリーマーの消毒, 滅菌法についてのアンケート調査より, 使用している消毒, 滅菌法は薬液浸漬が69.6%, 薬液清拭などが19.5%で, 消毒剤の使用は合計89.1%であった。2) ハンドリーマーの汚染調査より, ハンドリーマーの使用前の汚染は刃部では少なく平均1.0個であり, ハンドルでは大で平均7.5飼であった。使用後では刃部が大で平均3.1×10<SUP>3</SUP>個, ハンドルは小で平均100個であった。3) 消毒剤の効果は2%glutaraldehydeが最も強く, 0.1%benzalkonium, 0.1%benzethonium, 0.02%chlorhexidine, 3%cresolの順であり, 2%glutaraldehydeは全ての供試菌に対して最小30秒から最大30分で100%の消毒効果があった。他の消毒剤はB. subtilisに対して60分の消毒でも100%の効果は得られなかった。4) 消毒剤によるハンドリーマーの腐蝕については, ステンレス鋼のピァス製とKeer製リーマーはともに20日間の浸漬では発錆は認められなかったが, 炭索鋼のピァス製リーマーは腐蝕されやすく, 0.1%benzalkonium, 0.1%benzethonium, 0.02%chlorhexidine, 3% cresol, 2%glutaraldehydeの順に弱くなった。