乳酸菌飲料水が歯牙におよぼす影響についての組織学的研究 : III: 殺菌乳酸菌飲料水によるエナメル質の自然表面および表層部の変化
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概要
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10%ホルマリン (pH6.5) で固定したヒトの切歯を, 37℃の殺菌乳酸菌飲料水 (カルピス) に浸漬し, 唇側エナメル質の自然表面の形態的変化を, 3時間から3日まで, 走査電子顕微鏡を用いて観察した。一方, 24時間あるいは3日間浸漬によって, 表層下に脱灰層をもつエナメル質の表層部を, 透過光顕, 偏光顕微鏡, microradiography, 走査電子顕微鏡により形態学的に観察し, また, X線微小分析とVickers硬度の測定を行った。<BR>エナメル質の自然表面の結晶は, 浸漬後3から6時間で, その表面が溶解して融合した。24時間後, それらは部分的に溶出, あるいは剥離し, 直径100〜150nmの結晶が露出した。これら粗大な結晶は, 3日間乳酸菌飲料水に浸漬した時点で, 約1.5μmの幅をもつ被覆層として, エナメル質の全表面を占めた。<BR>表層下に脱灰層をもつエナメル質の表層は, 表面から内部へむけて, (1) 前述の被覆層, (2) 比較的すう疎で物理的に破壊されやすい再石灰化層, (3) エナメル小柱の体部と周辺部が著しく溶解する脱灰層, (4) エナメル小柱の周辺部が主に溶解する脱灰前線部の4層に区分された。
著者
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東 昇平
昭和大学歯学部第2口腔解剖
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小高 鉄男
昭和大学歯学部第二口腔解剖学教室
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中川 勝洋
昭和大学歯学部第二口腔解剖学教室
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川原 哲子
昭和大学歯学部第二口腔解剖学教室
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小林 美由紀
昭和大学歯学部第二口腔解剖学教室
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東 昇平
昭和大学歯学部第2口腔解剖学教室
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小高 鉄男
昭和大学歯学部第2口腔解剖学教室
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小林 美由紀
昭和大学歯学部第2口腔解剖学教室
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中川 勝洋
昭和大学歯学部第2口腔解剖学教室
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川原 哲子
昭和大学歯学部第2口腔解剖学教室
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