歯質耐酸性生検値に及ぼす食品摂取・フッ化第一スズ添加磨歯剤使用の影響 : 歯質耐酸性測定法シリーズV
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概要
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歯質耐酸性を生検法によって測定する場合に, その前に摂取した食品やフッ化第一スズ添加磨歯剤 (SnF<SUB>2</SUB>磨歯剤) の使用の測定値に及ぼす影響を研究した。<BR>biopsyの方法は, 竹内・川崎により開発された, いわゆるAgar plate法で, pHは4.0であり, 事前研摩は炭酸カルシウム基剤の磨歯剤を用いた。測定部位は上顎中切歯唇面である。<BR>成人8人について, 測定直前に摂取した水あめ, キャラメルは危険率1%で, みかんは同5%で, 摂取直前の測定値に比べ有意にリン溶出量の増加が認められた。しかし, この影響はやがて回復すると推定されたので, biopsyは, 食事直後は避け, 食前, 食間に行なえば差支えないものと考えられた。<BR>次に, 小学校第5学年児童の6人 (A群), 34人 (B群) について, 調製して間もないSnF<SUB>2</SUB>磨歯剤 (Fとして1,000ppm) 使用の影響を検討した。<BR>SnF<SUB>2</SUB>磨歯剤3分間使用直後の値 (A群) は, 使用直前の値に比べ危険率5%で有意にリン溶出量の低下が認められた。<BR>毎日1回3分間, 3日間, SnF<SUB>2</SUB>磨歯剤を使用し, 第4回目に測定した値 (B群) は, 使用前の値に比べ, 危険率1%で有意にリン溶出量が減少した。<BR>SnF<SUB>2</SUB>磨歯剤は, 現実に使用されるまでには日時の経過にともないFイオンの活性が低下してくることがあり得るにしても, biopsyの値の解釈のさいには, フッ化物添加磨歯剤の使用の有無を考慮しておくべきと考えられた。
- 有限責任中間法人 日本口腔衛生学会の論文
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