唾液中の酸産生菌代謝促進因子のbioassay
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概要
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唾液上清中には, 口腔細菌をふくむところの唾液沈渣の, 呼吸および乳酸発酵を促進する物質がふくまれており, Hartlesらは, これを“Metabolic factor”と名づけた。このものの活性測定は, 唾液沈渣を用い, 主としてWarburg検圧計による呼吸および生成した乳酸を, CO<SUB>2</SUB>-bicarbonate緩衝系で, CO<SUB>2</SUB>量として測定する方法が用いられてきた。しかし, この方法は, 操作が煩雑であるなどの欠点をもっているので, 多数試料に用いるには不適当である。<BR>本研究は, これらの欠点を除いたbioassay法の開発を目的として行なわれたものである。唾液上清材料は, Sephadexゲル濾過によって分画した各フラクションの, 唾液沈渣に対する乳酸発酵促進効果を, Warburg検圧計によって測定し, その高活性を示すフラクションを合したもの, すなわち, “Metabolic factor”としての活性を示したものが用いられた。<BR>まづ, <I>Streptococcus</I>3種, <I>Lactobacillus</I>4種を用いて, 発育におよぼす影響を検討し, <I>Str. lactis</I>が著しい活性を示したので, 本菌を唾液沈渣に代換し得るindicatorとして用い, 濁度法, 酸度滴定法ならびに, とくに, 寒天平板を用いたpulp-disk法による検定法の諸条件を検討した。<BR>その結果, pulp-disk法は, 培養時間の短縮, 多数試料を任意の時期まで安定に保存して測定を行ない得る点で, 他の方法より優れており, 多くの試料についてのroutine assayとして適当である可能性が認められた。
- 有限責任中間法人 日本口腔衛生学会の論文