2, 3歳児の間食実態調査特に, う蝕罹患状態との関係について
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概要
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この報告は, 幼児の間食の摂取状態とう蝕罹患との関係について述べたものである。調査検討した対象は, 東京ライオンファミリー歯科診療所を訪れた者の中の2歳児84名, 3歳児71名である。う蝕の診査は, 歯鏡および探針をもつて行い, 間食の調査は口答で記入法を説明した上一週間にわたって食事以外に飲食した食品すべて記入させた。記入事項の不明瞭な点については, 回収時に直接記入者に質問し, 追加または訂正した。対象は各々の家庭で生活しており, 間食の摂取状態には大きな個人差がみられ, 同時にう蝕罹患にも差がみられた。検討の結果次のような事が解つた。1. 間食として摂取した食品の主な栄養素は炭水化物であり, 幼児個々の間食熱量が所要熱量に占める割合は5〜60%の範囲にあつた。2. 摂取された炭水化物の中から, 精製された糖質によつて作られている食品をとり出し, それの熱量とう蝕罹患歯率間の相関を検定すると, 2歳児ではr=0.29,3歳児ではr=0.45となりいずれも危険率1%で有意であつた。3. 牛乳および果物など, 精製されていない糖質でなる食品とう蝕罹患歯率間には, 2, 3歳児とも相関関係は認められなかつた。4. 幼児の間食摂取には個人差がみられるが, 彼らの多くは所要熱量の30%以上に値する熱量を間食から摂つており, 食品の種類としては, 年齢, 季節を通じて菓子類が最も多く改善すべき問題点が認められた。5. しかしながら, 間食に対する意識調査を行つた母親達の回答によれば, 関心は極めて低く, 日常間食は幼児らの欲求のままに不規則に与えている者が70%を占めていた。
著者
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栗山 純雄
財団法人ライオン歯科衛生研究所
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酒井 清六
日本歯科大学衛生学教室
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奥山 輝美
日本歯科大学衛生学教室
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本村 静一
財団法人ライオン歯科衛生研究所
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長浜 満男
日本歯科大学衛生学教室
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秋吉 敏子
財団法人ライオン歯科衛生研究所
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加藤 寅郎
日本歯科大学衛生学教室
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佐々木 冨美
財団法人ライオン歯科衛生研究所
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