カーボンブラック充てん加硫ゴムの熱による高次構造変化

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大気中及び減圧下, 160°Cで熱処理を行ったカーボンブラック充てん天然ゴム加硫物についてNMR, 膨潤度及び破断伸び測定を行い, 充てん剤系加硫ゴムの熱による高次構造変化について検討した. 短時間の熱処理 (3時間まで) において, 非運動性及び運動性ゴム相の分子運動性并びに平均膨潤度は処理時間の増加にともない増大する. しかしながら加硫度の高い試料ではこれらの変化が小さい. 以上の熱処理依存性には処理雰囲気の影響がほとんどあらわれない. 処理時間3時間以上の場合, 平均膨潤度及び運動性ゴム相の分子運動性は処理時間の増加に伴い減少し, その程度は大気中で処理した試料においてより顕著である. 非運動性ゴム相及び加硫度の高い試料の分子運動性は長時間の熱処理 (24時間) でも大きな影響を受けない. 運動性ゴム相のスピン-スピン緩和時間の熱処理依存性と平均膨潤度の処理依存性は相関性を示す. 一方破断伸びは処理時間が長くなるにつれて単調に減少し, その程度は大気中での処理試料においてより顕著であることから前二者との相関性は明確ではない. カーボンブラック充てん天然ゴム加硫物中のゴムは熱により分子鎖切断と酸素が介在した分子間再結合反応を行っている可能性があり, 短時間の処理では分子鎖切断が優先的であり試料全体としては軟化の方向へと構造変化する. 酸素存在下, 長時間の処理において, 切断された分子鎖の再結合や未反応硫黄及び酸素が介在した分子間架橋がゴム成分の90%以上を占める運動性ゴム相で生じ, 試料全体としては硬化の方向へと構造変化する.

カーボンブラック充てん加硫ゴムの熱による高次構造変化

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