ゴム状物質の実用弾性率について
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概要
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固体弾性論ではヤング率(E), せん断弾性率(G), ポアソン比(ν)及び体積弾性率(B)の間に式(1)などの関係がある.ν=1/2-E/6B, E=2G(1+ν) (1)ゴム状物質も微小変形であれば, 初断面応力(σ)とひずみ(ε)は比例し, E=σ/εで, B≫Eから式(1)は式(2)と近似されν=1/2, E=3G (2) 変形中に体積は変わらないとされる. それが, 一般のゴム加硫物で中小変形時に伸長又は圧縮比(λ) (λ=1±ε)の2≥λ≥0.5程度で実測しても体積の変化は認められない.その領域では, ゴムの場合Eを実断面応力 (λσで表せる)とひずみの比とする Bartenev のE=λσ/ε, すなわち式(3)がある.σ=E(1-1λ) (3)しかし, このEに式(2)のE=3Gを用いては, 中小変形でのゴム特有の実測曲線を表現することはできない.ここに, ゴムの有限変形中の体積不変性より, ゴム状ポアソン比(νR)を式(4)のように定義し,(νR)=ε′/ε=(1-1/√<λ>)/(λ-1) (4)ゴム状ヤング率(ER)を式(5)で表わし(ER)=2G(1+(ν)) (5)式(3)のEに(E)を代入して式(6)を導いた.σ=2G(1-λ-1.5)この式(6)のσ〜λ関係式によれば, ゴム状弾性理論式のσ=G(λ-λ-2)などの多くのσ〜λ関係式より, 2≥λ≥0.5のような引張りから圧縮にわたる実用上の中小変形域の実測曲線(例えば Treloar 曲線)をよく表現できることを知った.式(6)より得られるGをゴムの有限変形における基本的弾性率とし, 微小変形から求められるBとともに, ゴム状物質の実用弾性率とすることを提案する.
- 社団法人 日本ゴム協会の論文
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