アセトンとアルコール中におけるカーボンブラックと過酸化ベンゾイルとの反応
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概要
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50°C以下では, アセトン中で過酸化ベンゾイル (Bz2O2) の分解は認められないが, カーボンブラックの存在する場合には安息香酸が生成し, 反応条件によっては, 用いたBz2O2のすべてを安息香酸にすることもできる.まず, 反応温度とBz2O2の濃度を定めておき, ある銘柄のカーボンブラックをとり, その量のみを変えて, 一定時間中に生成する安息香酸の量をしらべてみると, これは用いたブラック量に比例する. つぎに, ブラック量を一定として, Bz2O2の濃度のみを変えて反応を追跡すると, 生成した安息香酸の量と用いたBz2O2の濃度との関連性は, あたかも Langmuir 型の反応と類似したところがある. なお, このような反応系で取扱うと, Bz2O2が安息香酸になる見掛けの活性化エネルギーは, ほぼ9〜10kcalと計算される.一方, 銘柄の異なるカーボンブラックを用い, それらの比表面積とBz2O2の分解量との関係をしらべたところ, 生成安息香酸の量はブラックの比表面積 (BET法) と関連性があったが, かならずしも完全な比例的相関性を示さなかった. おそらく, 粒子表面の物理的性状の違いや, 酸素含有基の多少などによるものと思われる.アセトンのかわりに, 反応の溶媒として, メチルアルコール, エチルアルコールおよびイソプロピルアルコールなどを用いた系の実験では, 安息香酸の生成のほかに, それら溶媒の一部が, それぞれ, ホルムアルデヒド, アセトアルデヒド, アセトンに変わっており, これらの生成は, 2, 4-ジニトロフェニルヒドラゾンとして定量と確認を行なうことができた.このような実験から, 水素原子をもっている溶媒中で, カーボンブラック粒子表面にBz2O2を作用させると, まず, ブラック表面に吸着して, そこで反応がはじまり, 結果として, 水素引抜きが行なわれ,1) このとき生まれるベンゾイルオキシ基 (BzO•) が溶媒と反応し, いわゆる誘発的な機構で, つぎつぎとBz2O2の分解がすすむものと解釈されるが, 一方では, 溶媒より由来する遊離基とブラック粒子との結びつきも推理されるのである.
- 社団法人 日本ゴム協会の論文
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