グリシンおよびアラニンの熱縮合
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概要
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α-アミノ酸の熱縮合によるポリペプチド生成の際, Foxらは過剰のグルタミン酸あるいはピログルタミン酸の存在を必要とし,反応生成物も過剰のグルタミン酸を含む結果となることをのべている.私どもはグリシンまたはグリシンとDL-アラニンとの混合物を用い,グルタミン酸の所要量を検討し, Foxらの示すよりはるかに少量のグルタミン酸添加でかえって高収率で高分子量のポリグリシンおよびコポリ-(グリシン, DL-アラニン)に近い組成のポリペプチドをうることができた.また燐酸は単に反応温度の低下に役立つのみのものではなく,全くグルタミン酸と置き換えうることがわかった.燐酸単独を触媒として生成した熱縮合ポリペプチドの分子量はポリグリシンで40,000〜50,000,コポリ-(グリシン, DL-アラニン)で15,000に達した.本反応におけるピログルタミン酸および燐酸の主要な役割は,反応開始剤であろうと考察した.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文