タバコアルカロイドの植物化学的研究(第6報) : タバコの葉におけるニコチンの脱メチルの特異性ならびに脱メチル機構に関する考察
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
ニコチンを構成する三つの部分,ピリジン,ピロリジンおよびメチル基をそれぞれ変型した各種ニコチン類縁化合物をタバコの葉に供与し,その結果にもとづいてタバコの葉(N. tabacum, “Cherry Red”)におけるニコチンの脱メチルの特異性を検討するとともに,ニコチンの脱メチル機構について考察を加えた. (1) ニコチンの脱アルキルの特異性については次の結論ならびに推論を得た. a) タバコの葉の脱アルキル反応の基質の必要最少構造はpy-〓H2-の相対配置であろう.側鎖の窒素原子はアンモニウムイオンである必要があろう. b) ニコチンのピリジン環はピリドン環で代用され得る. c) ピリジンの2位置換基(ヒドロキシル)は脱アルキルの立体障害になるように考えられる. (2) a) 1-(3-Pyridyl)-1-methylethylaminoethaneは脱アルキルされ, 1-(3-pyridyl)-1-ethylamino-ethaneを与えることはニコチンの脱メチル中間体としてピロリジン環の1, 2あるいは1, 5開環体が生成しないことを示唆している. b) l-ニコチンから一部ラセミ化したl-ノルニコチンが生成する際のラセミ化は,二,三の根拠からニコチン-酵素のような状態で起ることが想定される. c) Nicotine-1-oxideはノルニコチンをほとんど生成しないのでnicotine-1-oxideはニコチンの脱メチル中間体ではないことを示している.
著者
関連論文
- タバコの根の組織培養について
- 葉たばこよりシキミ酸およびキナ酸の分離について
- 葉たばこ乾燥に関する研究(第2報) : 乾燥葉のアミノ酸について
- 葉たばこ乾燥に関する研究(第1報) : 乾燥中における酵素活性の変化について
- タバコアルカロイドの植物化学的研究(第6報) : タバコの葉におけるニコチンの脱メチルの特異性ならびに脱メチル機構に関する考察
- タバコアルカロイドの立体特異的分解と生合成機構に関する研究
- タバコアルカロイドの植物化学的研究(第5報) : タバコ葉におけるニコチンのメチル基の代謝
- ニコチンの熱水溶液中における変化について
- 微生物によるdl-ニコチンの分画