縮合リン酸塩の抗菌作用に対する大腸菌外膜の保護効果

概要

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E. coli IFO 3301の浸透圧ショック処理菌はヘキサメタリン酸ナトリウム(HP),界面活性剤,リゾチームに対して感受性であった.この結果は外膜が損傷を受けるとHPの抗菌作用が発現されることを示唆した.さらに著者らは不完全なリポ多糖(LPS)を有するNS mutantsの中に縮合リン酸塩感受性株を見出した.これらの結果から,正常菌の外膜は縮合リン酸塩の透過障壁として働いていることが示唆された.しかし,縮合リン酸塩感受性はLPS構造と相関が認められなかったので,その障壁は疎水性物質に対する障壁とは異なっているように考えられた. HPで処理したE. coli JE 1011は蛋白質, Mg2+, LPSを遊離した. Mg2+の遊離は急速であった,またMg2+はNS mutantsからも同様に遊離した.しかし,縮合リン酸塩感受性株からのMg2+の遊離パターンは縮合リン酸塩抵抗性株とは異なっていた.縮合リン酸塩感受性株はMg2+を2段階に遊離し,屈曲点に達した後のMg2+の遊離は縮合リン酸塩感受性と相関があった.
社団法人日本農芸化学会の論文