黄色ブドウ球菌の[14C]-プロリン取り込みに対するコール酸の影響

概要

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(1)黄色ブドウ球菌のプロリン取り込みは0.025%コール酸によってやや促進されるが, 0.1%コール酸では逆に阻害された.対照区に,おいて取り込まれたプロリンの約95%は蛋白質画分に移行したが, 0.025%コール酸区では約80%, 0.1%コール酸区では約50%と低下した.すなわちコール酸の添加は比率において細胞内遊離プロリンの増加を促進した. (2) 5%食塩存在下で,全菌体へのプロリン取り込みは著しく増大した.なお取り込まれたプロリンの多くは菌体内において遊離プロリンとして存在した.この細胞内遊離プロリンの役割は浸透圧の調節であろうと思われる. (3) 5%食塩存在下でコール酸はプロリン取り込みを阻害した.つまり本菌は高濃度食塩環境下において大量のプロリン取り込みを必要とするが,コール酸はプロリンの取り込みを抑え,結果的に細胞内遊離プロリンの集積を阻害した.本菌の食塩耐性はコール酸により著しく低下するが,この低下の機構の一つとして,プロリンの取り込み抑制による浸透圧調節機能の低下が推定された.