発芽大麦穀粒中のリノール酸ヒドロペルオキシドイソメラーゼ系によるリノール酸からのヘキサナールの生成
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概要
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発芽大麦穀粒によるヘキサナール生成は,発芽経過とともに増大し, 7日目発芽大麦を馬いた場合100粒当り約0.3mgのヘキサナールを生成した.発芽大麦穀粒を水とともに磨砕するとき,リノール酸を添加しておくとヘキサナール生成が数倍に増加することを認めたので,大麦穀粒によるリノール酸代謝とヘキサナール生成との関連を検討した. まず,発芽大麦穀粒によるリノール酸からの代謝産物であるα-ケトール化合物(I:9-ヒドロキシ, 10-オキソ,シス-12-オクタデセン酸, II:13-ヒドロキシ,12-オキソ,シス-9-オクタデセン酸)を調製するため,未発芽大麦穀粒からリノール酸ヒドロペルオキシドイソメラーゼを精製した.精製途中で分子型のみを異にする2種のイソメラーゼが存在することを認めたが,本実験では純度の高い低分子型のイソメラーゼAを使用した.リノール酸ヒドロペルナキシド(LHPO)の9-異性体からα-ケトール化合物Iを, 13-異性体からα-ケトール化合物IIを作り,それぞれからのヘキサナール生成能を調べたところ,α-ケトール化合物IIが,α-ケトール化合物Iや中間体である9-あるいは13-LHPOよりはるかにヘキサナールを作り易いことが明らかになった.α-ケトール化合物IIをpH 7.0の条件下でインキュベートしたとき, 20%の収量でヘキサナールが生成したが,その過程にはラジカル反応が関与していることが示唆された.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文