ルテインによるホウレンソウリポキシゲナーゼ活性阻害機構について
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概要
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ホウレンソウのクロロプラストから精製したリポキシゲナーゼ標品を用いて,緑葉力ロチノイドの主要成分であるルテインによる酸素吸収活性阻害とルテイン褪色について検討した. (1) リポキシゲナーゼ活性はルテイソ添加によって約30%の活性阻害を受げ,いっぽうルテインは褪色する.その阻害様式は拮抗,非拮抗型のいずれでもないようである.無添加の場合のKm値は6.67×10-3となる. (2) 酸素吸収活性,ルテイン褪色活性はいずれもルテインの存在下でのみ過剰のリノール酸によって強く阻害される.これから活性中心近くの非極性部分にルテインが非特異的に結合してE-S複合体の生成を妨害しており,いっぽうでルテインは酸素キャリヤーとしてのリノール酸から酸素を受け取って槌色する.またその阻害度はルテイン量に比例して増大している. (3) リノール酸ヒドロパーオキシド生成量の吸収酸素量に対するモル比はルテインを添加した場合に1より小さくなり,その差はルテイン褪色に使われている.ルテインとリノール酸に対する結合酸素量をくらべるとルテインが見かけ上は優先的に酸化されている. (4) リノール酸ヒドロパーオキシドはルテイン褪色を阻害すること,またルテインが微量のリノール酸存在下で褪色することから,酸素キャリヤーとしてリノール酸パーオキシラジカルが考えられる.すなわち,非特異的に活性中心周辺に結合しているルテインは,パーオキシラジカルから酸素を受け取って褪色し,この反応はパーオキシラジカルのヒドロパーオキシドへの反応よりも優先的のようである,いっぽう,ルテインおよびその褪色生成物はリノール酸酸化を阻害しており,阻害度はルテイン褪色度に比例して増大する. これら反応系はクロロプラストに共存して相互にし合う機能を持つものと考えられる.
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