ラット小腸粘膜β-carotene-15, 15'-dioxygenaseの活性測定法の確立と酵素化学的性質
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概要
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βーカロテンの15,15'位における中央開裂はβーカロテンの吸収・代謝において確立された説となっていない。それは分子端からの逐次開裂も示唆されているからである。このもんだいはin vitroにおけるβーcarotene-15, 15'dioxygenase (BCDO)活性測定法が不完全なために起こったのではないかと考え、補因子活性をそれ以外の測定条件と共に検討し、測定方法の確立を目指した。ラット小腸粘膜ホモジェネートのBCDO活性はGoodmanらの既知の方法によっては検出出来なかった。SH試薬(GSH,またはDTT)及びニコチンアミド(NA)はBCDO活性測定に必要であった。NAはNADHに置き換えられるが、生成物はレチナールの代わりにレチノールであった。NAD+はBCDOの活性を一部阻害する。他の補因子の最適濃度をこれらの条件下で決め、1 mM GSH, 1 mM Fe+, 10 mM glycocholateとした。これらの結果から、in vitro におけるBCDO活性測定が再現性良く行われることになり、Goodmanらによって提示されたβーカロテンの中央開裂が確認できた。A central cleavage at 15, 15' position of βーcarotene has not been an established theory in absorption and metabolism, because an exenteric cleavage of βーcarotene for producing apocarotenals has been suggested. We considered that this problem was based only on the imperfection of the assay method for βーcarotene-15,15'-dioxygenase (BCDC) activity in vitro, and tried the establishment of this assay method by investigating cofactor activities together with other assy conditions. BCDO activity of rat intestina mucosa homogenate could not be detected with the known method by Goodman et al. SH reagents (GSH or DTT) and nicotinamide (NA) were essential for BCDO assay. NADH could take place with NA, but the product was retinol instead of retinal. NAD+ partially inhibited the enzyme activity. Optimum concentrations of other cofactors were decided under the following conditions : 1 mM GSH, 1 mM Fe2+, and 10 mM glycocholate. From these results, a good reproducibility of the in vitro assay for BCDO activity was obtained, and it was confirmed that the central cleavage theory presented by Goodman was reasonable.
- 岡山大学の論文
- 1998-02-01
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