当院における妊娠41週を超えた症例の管理とその考察
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概要
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妊娠42週を超えると胎児ジストレスや巨大児などの適応による帝王切開の増加や,羊水混濁などによる新生児仮死の頻度が高くなるなどハイリスク妊娠の1つと考えられる.当院では妊娠41週を過ぎても胎児Well-beingを評価し,数日自然陣痛発来を待つ群(待機群)と,それを過ぎても陣痛が発来しない群で積極的に分娩誘発を行っており(誘発・促進群),両群間の母体予後と新生児予後を2001年からの4年間生産数4698件を対象に後方視的に検討した.妊娠41週を超えて分娩に至ったのは14.8%で,このうち42週を超えた過期産は0.79%であった.帝王切開率は,待機群のほうが待機中に胎児心拍異常や胎児異常の症例を含むため初産婦,経産婦ともに誘発・促進群よりも高く,反復帝王切開症例を除いて検討すると,41週未満で8.2%,41週で11.7%,42週で37.8%と週数が進むにつれ増加傾向を示した.初産婦と経産婦を比較すると,前者で高かった.吸引,圧出分娩は誘発・促進群で初産婦,経産婦ともに多かった.4000gを超える巨大児の頻度は41週未満0.8%,41週2.7%,42週10.8%と,これも週数が進むにつれ増加傾向を示し,41週を超えた巨大児妊娠での帝王切開率は30.4%と高率であった.羊水混濁,1分後低アプガールスコアーの出現頻度は待機群でやや高い傾向がみられたが,誘発・促進群と明らかな差は認めなかった.41週を超えた妊婦でどのように胎児Well-beingの評価を行い待機するのか,初産婦の頸管の熟化をいかにして計るかが,今後の課題と思われた.〔産婦の進歩60(4):313-319,2008(平成20年11月)〕
著者
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藤本 和也
生長会府中病院 産婦人科
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山崎 則行
生長会府中病院
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中川 昌子
府中病院産婦人科
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中川 昌子
生長会府中病院産婦人科
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萬代 博行
まんだいレディースクリニック
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衣田 隆俊
生長会府中病院産婦人科
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和田 龍
生長会府中病院産婦人科
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中川 由里子
生長会府中病院産婦人科
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藤本 和也
生長会府中病院産婦人科
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