醤油の褐変物質(メラノイジン)について
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概要
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醤油を37°で50日保存し生成された褐変物質(メラノイジン)を精製し,次の結果をえた. (1) 流水透析および, DEAE-セルロース, Sephadex G-100によるクロマトによって精製したメラノイジンは, Sephadex G-100ならびにゲル電気泳動で単一であり,またアミノ酸や還元糖の混入はなかった. (2) 醤油メラノイジンは, 0.12ppmのFeを含み, T. N.は4.70%であった. UVの吸収曲線には極大や極小は認められなかったが, 280mμ付近にわずかな肩があった. (3) 醤油メラノイジンもアミノ酸・糖のモデル系のメラノイジンも,ともに加熱や酸化をうけても自身はもはや増色せず,また醤油に加えても醤油の加熱や酸化での褐変反応に影響を与えなかった. (4) 醤油メラノイジンはフェリシアン化カリを還元し,またO2の吸収作用も有していた. (5) 醤油メラノイジンを塩酸で加水分解すると, Glc, Xyl, Gal, Ara等の糖と,醤油中に存在するほとんどの種類のアミノ酸を遊離した.