四塩化炭素処理ラット肝臓における脂質分子成分へのラベル脂肪酸の取り込み
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概要
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ラベル脂肪酸(1-114C-酢酸,パルミチン酸,オレイン酸およびリノール酸)を指標としCCl4処理6時間および20時間後のラット肝臓脂質画分への取り込みを肝臓切片を用いて調べた. (1) CCl4処理6時間後では,パルミチン酸およびリノール酸のTG画分への取り込みは増加し, PL画分では減少したが, オレイン酸では異なった結果が得られた.グリセロ脂質合成に関与する酵素の特異性と, CCl4に対する感受性が,各脂肪酸について差異がある可能性を示した. 20時間後では, 3種の長鎖脂肪酸の取り込みは両脂質画分とも減少し, PL画分では特に著しかった. (2) CCl4処理により, PCとPEへのリノール酸の取り込みの程度に差異がみられ, PC:PEの比が低くなった.この変化は, 20時間後でとくに顕著で, CCl4処理によって引き起こされた両PLの量的変化と一致した. (3) CCl4処理により,酢酸からのパルミチン酸あるいはステアリン酸への合成は高進するが,酢酸とリノール酸(おそらくリノレン酸も)からの高度不飽和酸の生成は低下した. (4) TGおよびPCの分子種への各アイソトープの取り込みは, CCl4処理によるグリセロ脂質の構成脂肪酸の量的な変動と,ほぼ類似した動向を示した. (5)以上の結果から, CCl4,は肝臓におけるグリセロ脂質合成の初期段階で影響を及ぼし,グリセロ脂質の脂肪酸組成に変動をきたすものと思われる.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
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