甘しょ塊根におけるデンプン生合成に関する研究(第3報) : 塊根の発育にともなう炭水化物およびヌクレオチド量の変化について
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概要
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甘しょ塊根の発育期における炭水化物およびヌクレオチドの量的変化を調べた. (1) デンプンの蓄積は塊根発育盛期に最も著しく,露光処理によって完全に停止する.可溶性糖およびセルロースは発育初期に含有量が大きく,発育盛期には減少してほぼ一定の値を示した. (2) 発育期塊根から単離したヌクレオチドは, AMP, ADP, ATP, ADPG, UMP, UTPおよびUDPGで,その他にl-アスコルビン酸である.これらヌクレオチドのうち, UDPGは塊根発育初期にとくに含有量が大きく100μmoles/kgである. ADPGは発育盛期に最も大きく10μmoles/kg程度となる. ATPは発育全期を通じて比較的大きい含有量で経過するが発育盛期に最も大きい.また土壌水分によってヌクレチオド組成が変化し,湿潤状態ではATPが速やかに消失し, ADPGも認められなくなる.露光処理はADPG合成反応を阻害するものと推定された. (3) ADPG-デンプン合成酵素活性は発育初期に大きく,しだいに低下するが,露光処理によってむしろ増大する. 以上の実験結果をもとに,生体内におけるしょ糖からのデンプン合成のメカニズムについて考察した.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
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