炭化水素からのL-グルタミン酸生成について
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概要
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(1) 天然からスクリーニングした炭化水素資化性菌のうち, L-グルタミン酸生成能の高いSB-4082株について菌学的性質を検討し, Bergeys Manual of Determinative Bacteriologyの第7版と比較対照した結果,新菌種と認め, Corynebacterium petrophidum nov. sp.と命名した. (2) 炭化水素資化性のアミノ酸生成株20数株について,炭化水素からのL-グルタミン酸生成能を検討したところ,大半の株が0.1〜0.5mg/ml以下の低い生成能であった. (3) SB-4082株を用い,培地中の有機,無機窒素源の影響について検討したところ, C.S.L. 0.01g/dl,無機窒素として尿素の添加がL-グルタミン酸の生成に良好で,このC.S.L量は,菌の最大増殖量以下の量である. (4) SB-4082株を用い, L-グルタミン酸生成に有効な薬剤の選択を行ったところ,ペニシリン(G)の添加が特に有効であった. (5) ペニシリン(G)の添加量,添加時期および培地組成とL-グルタミン酸生成について調べたところ,添加量は25〜100単位/mlが好ましく,添加時期の影響は比較的少なく,培地中の有機窒素に富んだ条件が, L-グルタミン酸生成に良好な結果を及ぼすことが判明した. (6) n-飽和炭化水素の炭素数とL-グルタミン酸生成の関係について調べた.菌の生育はnC10〜nC17,に検出され,特にnC14〜nC17に良好であった.これに対し, L-グルタミン酸の生成量は大体生育に対応して増加し,なかんずく, nC15, nC16, nC17に著量の生成が見出された. (7) 各種基質からのL-グル芽ミン酸生成を検討したところ,不飽和炭化水素のC16i-1から検出され,他の酸,アルコールなどから検出されなかった. (8) 炭化水素からのL-グルタミン酸生成に対するペニシリン効果について,他のスクリーニング株について調べたところ,グラム染色陽性,陰性の細菌ならびにNocardiaに認められ,中でもSB-4112株はnC163.9g/dlから3日培養で13.0mg/mlのL-グルタミン酸を生成蓄積することが検出された. (9) ペニシリン(G)以外の細胞壁合成阻害剤として認められている抗生物質などの中にもL-グルタミン酸生成に効果的なものが選出された. (10) ペニシリン(G)の類似物質により,ペニシリン(G)と同様,炭化水素からのL-グルタミン酸生成に著効を示した.
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