界面活性剤の生物活性に関する研究(第1報) : 各種界面活性剤のアカイエカの幼虫に対する毒性について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
非イオン性47種,陰イオン性15種,陽性4種および両性2種の界面活性剤のアカイエカの幼虫に対する毒力をペトリー皿法による24時間後の致死率から算定し,また各種濃度における薬剤の表面張力もTraubeの滴数計を用いて測定した.界面活性剤のLC50とそのHLBとは直接関係はないが,その表面張力とは高い正の相関関係があり,表面張力の小なるものほどその毒力は大となる. LC50値(p.p.m.)により供試界面活性剤を3段階に分類すると, 1,000以下のI類には大部分の陽イオンおよび陰イオン性18種が入り, 1,000〜10,000のII類には陰,陽および両イオン性の7種が入り,毒性の最も少ない10,000以上のIII類には大部分の非イオン性など11種が入り,哺乳動物で見られると同様に,陽イオン,陰イオン,非イオン性の順に毒性は減少する傾向にある.一般にPOE系非イオン性界面活性剤ではエーテル型はエステル型に比して毒性が高い.また同一基本構造をもち,かつほぼ同一のHLBを有する界面活性剤,すなわちPOE fatty acid ester, POE alkyl ether, POE alkylphenol ether, POE alkyl ether sulfoacetate, POE sorbitan monofatty acid esterおよびtrimethyL alkyl ammonium chlorideの各アルキル基の炭素原子数の増加につれて毒力が減少する.陰イオン性界面活性剤ではスルフォン酸のアルカリ塩の方が脂肪酸のアルカリ塩より毒性が高く,またdodecylbenzene metal sulfonateではナトリウムとカルシウムとの間に毒性の差はほとんどないが, metal oleateではカリウムはナトリウムより僅かに毒性が大きい.マウスおよびラットに対する13種の界面活性剤の急性ならびに亜急性毒性(LD50)と本研究で供試した同一化学組成を有する薬剤のアカイエカの幼虫に対する致死毒性(LC50)との間にはほぼ平行関係が成り立つことを認めた.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
著者
関連論文
- 日本農薬学史年表余話
- 界面活性剤の生物活性に関する研究 (第2報) : p, p-DDT 乳剤のアカイエカの幼虫に対する致死毒力およびノックダウン速度に及ぼす非イオン性界面活性剤の影響について
- 界面活性剤の生物活性に関する研究(第1報) : 各種界面活性剤のアカイエカの幼虫に対する毒性について
- 油脂特殊成分の濃縮に関する研究(第1報) : 溶媒抽出および分子蒸溜によるエゴノールの濃縮について