大豆蛋白質のゲル形成に関する研究(第4報) : 還元剤,酸化剤および変性剤の影響について
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概要
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比較的高濃度(20%前後)における大豆蛋白質ペーストのゲル形成におよぼす,還元剤,酸化剤および蛋白質変性剤の影響を検討した結果,次のことが明らかとなった. (1)還元剤のうち,S-S結合を切断するとされている亜硫酸塩などをペーストに加えた場合,ゲル形成は極端に阻害される. (2) 酸化剤は一般にゲル形成を阻害するが,その程度は還元剤ほど著しくはない. (3) 尿素およびグアニジン塩酸塩も一般にゲル形成を阻害する. (4) 還元剤,グァニジン塩酸塩などは,比較的低濃度領域において逆にゲル形成を促進する方向に作用し,この現象は比較的脆弱なゲルを形成するようなペーストにおいてより顕著に認められる. (5) 上記の還元剤,酸化剤および蛋白質変性剤が存在する場合,ペーストおよびゲルの保水力とゲルの強さとの間に認められていた従来の相関関係は失われる. 以上のことから,大豆蛋白質のゲル形成における蛋白質のnetwork構造の生成について考察した.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文