L-アスパラギン酸の酵素的生産における副反応の抑制
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
菌体の繰返し反応法(cell reusing process)によるL-アスパラギン酸の生産については前報で報告したが,その際,初回のL-アスパラギン酸生産反応では,菌体内に共存するフマラーゼの強い活性によりリンゴ酸の副生が最終200mM生成され, L-アスパラギン酸収率の大幅な低下が見られた.したがって本報では,アスパルターゼ活性を安定に保持し,フマラーゼ活性のみを完全に除去させるべく種々検討を行った. (1) 本菌体内アスパルターゼ活性は, L-アスパラギン酸とCa2+イオンの両者の存在により加熱による変性からの保護作用を受けた. (2) フマラーゼ活性の効果的除去条件としては,基本組成液にTween 20を0.08%(w/v)添加した溶液にて45°, 5時間の菌体処理が良好であった. (3) フマラーゼ活性の除去処理を行った菌体を用いたL-アスパラギン酸の生産では,菌体の繰返し利用の回数が延長した. 以上,本研究では, cell reusing processを用いたL-アスパラギン酸の生産に際しで,副反応による生成L-アスパラギン酸の生産収率の低下を抑えるべく,副反応酵素フマラーゼの活性の至適除去条件の設定を行った.さらに,フマラーゼ活性を除去した菌体を用いたL-アスパラギン酸の生産反応では, 7回の菌体繰返し利用が可能となり,工業的に有意性の高いプロセス設定の可能性を見出した.
著者
関連論文
- アスパルターゼ生成条件の検討 (Cell Reusing ProcessによるL-アスパラギン酸の製造法に関する研究)
- L-アスパラギン酸の酵素的生産における副反応の抑制
- Cell reusing ProcessによるL-アスパラギン酸の生産