精油類のラマン効果に關する研究 : (第1報)しよう脳白油ピネン分の分析とその異性化
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概要
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1. しよう脳白油ビネン分の一利用途としてこれを合成しよう脳原料として用いるためラマンスペクトルと精溜法を併用して主要成分の分析を行い,また各成分の蒸溜による分離状況を検索し,あわせてそのカンフェンえの異性化試験を行つた.而してラマンスペクトルを用いることによつて従来不明確であつたしよう脳白油ピネン分の組成,純度,分離などを比較的簡単に明らかにしえた. 2. 原油のラマンスペクトルにはα-pineneのラマン線622, 1660cm-1などが強く観測されるが,そのほかにcampheneの639, β-pineneの643, 1637, cineolの655, dipentene及びlimoneneの803, 1682cm-1などが観測され,これら成分が相当量混入していることを認めた. 3. 原油を理論段数約18段の所謂Fenskeのpacking columnで精密分溜して9溜分に分別し各溜分のラマンスペクトルを検索し,またα-pineneの622, campheneの639, β-pineneの643, cineolの655, dipentenの1682cm-1を選びこれらラマン線の強度をbenzene及びacetoneの606, 1710cm-1をinternal standardとして測定し,純粋物質のそれとの強度比から原油及び各溜分の組成を明らかにし蒸溜による分離状況を観察した. 4. しよう脳白油ピネン分の組成はα-pinene 33, camphene 17, β-pinene 6, cineol 14, dipentene及び, limonene 19%であつて,これを精溜すれば低沸点部は主としてα-pinene及びcampheneよりなり高沸点部にはcineol, dipentene及びlimoneneが集積することが認められた. 5. 各溜分のカンフェンえの異性化試験を行つた結果低沸点部のα-pinene, camphene溜分はテレビン油とほぼ同等の異性化率を示し合成しよう脳原料として使用しうることを認めた.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
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