精油類のラマン効果に関する研究 : (第2報)テレビン油のラマンスペクトルによる分析
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概要
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1. 従来行われなかつたテレビン油のピネン分の分析をラマンスペクトルによつて行うため,先ずテレビン油所含成分を精溜,ラマンスペクトル及び化学的方法によつて明らかにし,また特定のラマン線2本をえらびその強度からα-及びβ-pineneを半定量的に測定した. 2. テレビン油を90%溜出させた高沸点部を精溜して20溜分に分別し,これからα-pinene, camphene, β-pinene, phellandrene, dipentene, borneol, bornyl acetate, longifolene及びpineneの自働酸化生成物としてverbenoneを検出, verbenol, cadineneの存在を推定しテレビン油はこれら成分からなることを確めた. 3. 邦産ガム・テレビン油4種,サルフェート・テレビン油2種のラマンスペクトルを撮影し,これらは主としてα-pinene及びβ-pineneよりなり他成分は少い事を認め,そのラマン線668, 1660; 643, 1639cm-1の強度をbenzene及びacetoneの606, 1710cm-1をinternal standardとして求め,純粋物質との強度比からα-及びβ-pineneの組成を測定した. 4. 1664cm-1はlongifolene, verbenolのラマン線l656, 1657cm-1などと重なり, 1639cm-1はphellandreneの1640cm-1と重なり,またdipenteneの1648cm-1も影響を与えるので著しく過大となる場合があり不適当である. 668, 643cm-1は僅かに他成分との重なりがあるがその影響は少く,これによつてα-及びβ-pineneの組成を測定し,その含量が60〜80%及び10〜15%であることを認めテレビン油の一分析方法を明らかにした.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
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