濾紙電気泳動法によるアミノ酸の分離について : アミノ酸のMG値の検討
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
1) 濾紙電気泳動法によりアミノ酸の泳動値に影響を及ぼす多くの条件を燐酸緩衝液を用いて検討し,新しくMGの表現法を提案した. 2) 濾紙の中央点に滴下したグリシンは等電点附近を含む各pHの燐酸緩衝液中で陰極側に泳動し,又時間の経過と共に泳動速度は次第に減少する.グリシンの泳動値はpH 7.38において平均電流値に反比例して増加する. 3) 各アミノ酸の泳動値は滴下点の位置により著しい差を示す.各アミノ酸は濾紙上に一定の電圧,電流の下でそれぞれの静止点を有し,これに向つて泳動するが時間の経過と共に次第にその速度を減ずる.したがつて一定条件の下で各アミノ酸の相対距離にはそれぞれ一定の最高値があり,それ以上は時間をかけても分離しない.静止点は電流値の増加と共に陽極側に移動する.又滴下点の位置はアミノ酸の相対距離に影響しない. 4) 濾紙の長さの異なる時,同一電圧,同一電流の下でも泳動値が異なる.濾紙の長さが同じく,水平面の長さの異なる時はほぼ同一の泳動値を示す. 5) 電圧が2倍となる時,アミノ酸の原点よりの泳動値は2倍とならず,各アミノ酸の相対距離がほぼ2倍となる. 6) 泳動値MGとしてアスパラギン酸とグリシンの距離を漂準とし,各アミノ酸のグリシンとの距離の比をとれば,電流,電圧,泳動時間,濾紙の長さ,滴下位置に無関係な恒数が得られる.このMG値はpHと共に規則的な変化を示す.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
著者
関連論文
- 濾紙電気泳動法における泳動距離について(第6報) : 色素類の泳動距離の検討(その1)
- 濾紙電気泳動法における泳動距離について(第7報) : MG値の検討(その2)
- 濾紙電気泳動法における泳動距離について : (第6報)色素類の泳動距離の検討
- 濾紙電気泳動法によるアミノ酸の分離について : アミノ酸のMG値の検討