モモの忌地に関する研究 (第5報) : モモ葉の水抽出液中のエーテル可溶性成分および不可溶性成分がモモ実生の生育に及ぼす影響
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概要
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1. 素焼鉢に栽植したモモ実生の葉面に, モモ葉の水抽出液中のエーテル可溶性成分 (生葉50gを水で浸出し, エーテルで抽出後蒸留水で50ccとしたものを原液とす) を種々の程度に希釈して, ほぼ毎日散布した。その結果, モモの生育は原液散布区において標準区よりはるかに劣つたが, その濃度が希釈されるに従つてしだいに生長が促進され, 遂には標準区以上となり, 10倍区において最大の生長を示した。これは前報の同一液を土壌に灌注した場合と同様の傾向である。2. モモ葉の水抽出液中の不可溶性成分 (生葉50gを水で浸出し, エーテル抽出した残液をNaOHで中和後50ccに濃縮したものを原液とす) を10〜105倍に希釈して, 鉢植えしたモモの実生に土壌灌注および葉面散布したところ, 両処理とも, 原液区において生育は著しく抑制され, 濃度が薄くなるに従つてしだいに生長がよくなり, 遂には標準区のレベルに達した。しかし, いずれの処理をした場合にも, 標準区以上に生長の促進することはなかつた。3. 種々の濃度のαナフタレン酢酸(NAA)溶液を, モモ実生の地下部に灌注するか地上部に散布して, その生長を比較した。その結果, 両処理とも高濃度においては標準区よりはるかに生育が劣つたが希釈されるとともに生育が良くなり, 地下部処理では10-5〜10-9%区において, 地上部処理では.10-4〜10-8区において, 標準区以上に生長が促進され, おのおの単頂曲線を示した。の傾向はモモ葉の水抽出液中のエーテル可溶性成分による処理の結果とよく似ている。4. ベンツアルデヒドおよびKCNの種々の濃度の液を, モモ実生の地下部および地上部に処理したところいずれの場合も処理濃度が高いと生育が劣り (ベンッアルデヒド地上部処理の場合のみ不明確), 濃度が希薄になるに従つて生育が進むが, いずれの濃度においても, 標準区以上に促進されなかつた。したがつて, この傾向はモモ葉の水抽出液中のエーテル不可溶性成分による処理の結果と似ている。
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