果樹における根分泌物の生長抑制作用の種類間関係について
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概要
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1. 作物の種類によつては, その根の分泌物が, 同種または異種の作物の生育を阻害することがすでに知られている。当報告は, これらの関係をイチジク, モモ, ナシ, リンゴ, カキ, ブドウ, カンキツおよびビワの各組合せについて調査したものである。2. 2000分の1aワグナーポット植付けの各種類の苗木に, 毎日多量の培養液を灌注して, ポットの下部の排水孔から流出する余剰の培養液をためておく。その1部を, 別に15cm鉢植付けの8種の実生または挿木苗にほぼ毎日灌注し, その生育を, 何も植えてない土壌を通した液を灌注した標準区と比較した。3. その結果, 同種の流出液を灌注した場合に, その生育は標準区に比べてモモ, イチジクおよびブドウでは著しく劣り, ナシ, リンゴ, ビワ, カンキツではこれに次ぎ, カキではかえつて促進された。4. 同種の果樹の生育を強く抑制した流出液は, 他の果樹の生育をも阻害し, その程度はモモおよびイチジクの流出液で著しく, ナシ, リンゴ, ブドウの流出液ではこれに次ぎ, ビワ, カンキツおよびカキの流出液では比較的弱かつた。5. 一般に他の果樹の流出液によつても, モモ, ブドウおよびイチジクの苗は生育を阻害されやすく, カンキツ, カキなどでは, あまり影響を受けなかつた。したがつて, 多少の例外はあるが, 一般に1つの種類の果樹の根からの分泌物が, 他の種類の果樹の生育を強く抑制する場合には, この組合せを逆にした場合においても同じような関係を生じ, その相互の影響度には高い相関があり, その級内相関係数は+0.6041であつた。
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