球根アイリスの球根の状態と花芽分化 に及ぼす低温効果との関係
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概要
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球根アイリス•ウエジウッドの球根の状態と, 花芽分化に対する低温感応性との関係を明らかにするために実験を行なつた.1. 8月12日より低温処理 (10°C) の開始時期と期間 (20, 35, 50日) を変えて処理を行なつたのち, 20°Cにおいてその後の花芽分化, 発達を調べたところ, 処理期間が同じ場合には, 早く処理を開始したものほど花芽の発達が早かつたが, 35日処理のもので8月12日処理開始のものは, 8月27日処理開始のものよりおくれた. また8月12日処理開始では50日処理が最も早く, ついで35日処理, 20日処理の順であつたが, 9月11日処理では35日処理が最も早かつた. 花芽発達の速さを低温処理開始からの日数で比較すると, 処理開始がおそくなるに従つて花芽の発達は速くなつた. 花芽分化時の葉数は処理期間が長くなると減少したが, 処理期間が同じ場合には, 処理開始時期によつてほとんど差はなかつた. しかし, 処理開始から花芽分化までに分化する葉数は, 処理開始がおそくなるに従つて少なくなつた. また第1葉の伸長は, 処理開始がおそくなるほど, また低温処理日数が長くなるほど早く伸長して, 早く停止した.2. 暖地産, 冷涼地産, 寒冷地産の球根を用いて8月12日より10°C35日間低温処理を行ない, その後の花芽分化, 発達を調べたところ, 暖地産球根の花芽が最も早く発達し, ついで冷涼地産大球, 同小球の順で, 寒冷地産球根は非常におくれた. これらの球根の休眠状態を調べたところ, 暖地産球根が最も早く休眠が終了しており, ついで冷涼地産大球, 同小球の順で, 寒冷地産球根はおそくまで休眠状態にあつた.3. りん片葉の存在が低温処理効果にどのように影響するかを知るために, 低温処理前および低温処理後にりん片葉をはく皮した球根と, はく皮しない完全球とを用い, 8月15日より13°C45日間低温処理を行なつて, その後の花芽分化, 発達をみた. その結果低温処理後はく皮区は完全球とほとんど同様に花芽分化, 発達したが, 低温処理前はく皮区は花芽分化しなかつた.4. 以上の結果より, アイリス球根では花芽分化に対する低温処理の効果は, 休眠終了の時期によつて大きく影響を受け, 休眠終了後の時間の経過とともに低温感応性が高まることが明らかとなつた. また球根の大きさは休眠に関係するとともに, りん片葉の存在が直接低温感応に影響するものと考えられる.
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