球根アイリスの生育, 開花に及ぼす光および貯蔵養分の影響
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概要
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球根アイリス‘ウエジウッド’の生育, 開花に及ぼす光および貯蔵養分の影響を知る目的で実験を行なつた.1. 低温処理を行なつて植え付けた球根を, 寒冷しやで日射量を制限して生育, 開花に及ぼす影響をみたところ, 低温45日処理を行なつた25〜30g球では, 日射量を戸外の28%に制限しても100%開花し, 葉長, 花茎長は長くなつた. また低温30日処理を行なつた15〜20g球では, 開花率は日射量を28%に制限した場合77.1%に低下した. しがしいずれの場合もしや光によつて到花日数はほとんど影響されなかつた.2. 摘花を行なつて, 生育, 開花に及ぼす影響をみたとてろ, 摘葉3枚以上で開花率が少し低下した. しかし到花日数にはほとんど差はなく, 花茎長は摘葉によつてむしろ長くなつた. 地上部重も摘葉3枚以下では対照区より重くなつたが, 新球重は摘葉によつて減少した.3. 低温処理後, 植え付け前にりん片葉1枚をはく皮したものは, 対照区にくらべて到花日数にはほとんど差はみられなかつたが, 開花率は対照区の1/2となり, 花茎長も短くなつた.4. 同じ地方で生産された15〜20gの球根と25〜30gの球根では, 生育, 開花に大差はみられなかつたが, 同じ大きさの球根でも球根の産地が異なる場合には生育, 開花に大きな差がみられた.5. 低温処理を行なつた球根, 低温処理後ジベレリン処理を加えた球根, 低温処理を加えない球根を植え付けて, 生育中の乾物重, デンプン含量, 糖含量および窒素含量の消長を調べたところ, 母球貯蔵養分は低温およびジベレリン処理, 低温処理, 低温処理を加えないものの順に早く消失した. そして前2者では開花期が母球養分の消失する時期と一致した.6. 以上の結果より, 球根アイリス‘ウエジウッド’では, ある程度以上の大きさの球根であれば開花はほとんど母球養分によつてまなわれ, 母球養分の分解•移動が地上部の伸長にともなう場合には生育中の光合成に依存することは少なく, 日射量が少なくても座止することはないものと考えられる.
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