キクのアントシアニンの部分的特性について

概要

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1. キクの品種“赤中三”を用いてアントシアニンの部分的特性をペーパークロマトグラフィーで調べた.2. キク花弁より4種類のアントシアニン(A1, A2, A3およびA4) が得られた. 生体花弁中にこれら4種類がすべて存在するものかどうかは明らかでないが, 量的にみて少なくとも2種類は共存している.3. アグリコンはすべてシアニジンである. アントシアニンの糖はすべてグルコースから構成されている. 糖はアントシアニジンの3-の位置に結合していることが, 部分的加水分解と吸収スペクトルにより明らかとなつた.4. キク花弁中にクリサンテミンが普遍的に存在することを再確認した. しかし, マルビジンの存在は疑わしい.5. キク花弁中にアシル化アントシアニンが存在するという知見を得た. 得られた4種類のアントシアニンのうち, 3種類がアシル化されており, またそのアシル基はいずれもコーヒー酸であつた.6. A1はシアニジン3-グルコサイド (クリサンテミン), A2はシアニジン3-カフェオイルグルコサイドである. A4はシアニジン3-カフェオイルジグルコサイドと考えられ, A3はコーヒー酸を含むシアニジン3-ジグルコサイドである.
園芸学会の論文