アサガオの茎の伸長ならびに花芽形成に及ぼす各種のジベレリンの作用の比較
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概要
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誘導暗期の直前に, 短日植物, アサガオの幼芽にアサガオ, ルーピンあるいはインゲンなどの種子のアセトン抽出物を与えると, 対照区に比して茎の伸長ならびに花芽の形成が促進される. 同じような促進作用がジベレリンA3を与えた場合でも得られることが知られている.本報文では, 上記の各種の種子から分離された炭素-20個のジベレリン (C20-)A18,A38,A23,A28 とA27, また炭素-19個のジベレリン(C19-)A1,A2,A3,A4,A5,A7,A8A9,A20,A21 と A22 の作用を, アサガオの茎の伸長ならびに花芽形成において比較調査した.アサガオの園芸品種, キダチをガラス室内で (28±2°C), 昼間は太陽光, 夜間は蛍光灯の連続照明下で育成し, その幼芽に上記の各種のジベレリン溶液を滴下し,直ちに1回の11時間の誘導暗期を与えた.0.05μgの供試量の各種C20-ジベレリンとGA3の茎の伸長における促進順位は, A3≫A38_??_A23_??_A18≫A28=対照区である. 同じ促進順位が花成においてもみられる.0.5μgの供試量の茎の伸長における促進順位は,0.05μgの場合とほとんど同じである. 花成においては, A38>A3=A23=A18≫A28=対照区の順位を示し, 茎の伸長順位と異なる.0.05μgの供試量の各種C19-ジベレリンとGA27の茎の伸長における促進順位は, A3>A1=A7>A5>A2=A4_??_A20>A22>A9_??_A8=A21=A27=対照区を示し,花成においても同じ促進順位である. 0.5μgの供試量の茎の伸長における促進順位は, 0.05μgの場合とほとんど同じであるが, 花成においては, A2=A4=A5>A1=A7_??_A3=A20>A21>A9=A8=A27=対照区の順位を示し, 茎の伸長順位と異なる.各種の供試量のGA3の作用は, 0.005μgのような少量では茎の伸長の促進はみられないが, 花成に対し明らかな促進がみられる. そしてその供試量が増すにつれて茎の伸長や花成の促進は両者ともに平行して強まる. しかし5μgのような多量では茎の伸長は著しく促進されるにもかかわらず花成に対する促進は減少する.アサガオの茎の伸長と花成において各種ジベレリンの作用を一般的にみて, 茎の伸長を促進するジベレリンは花芽形成をも促進する. あるいは逆に. 花芽形成を促進するジベレリンは茎の伸長をも促進する. しかし供試量の多い場合には, 各種ジベレリンの茎の伸長における促進順位と花芽形成における順位とは異なる. この両者の相異は, 活性の高いジベレリンは茎の伸長を著しく促進するにもかかわらず, 花芽形成をあまり促進しないためと思われる. これらの事は, ジベレリンの生理的機能が茎の伸長と花芽形成との間で, その濃度によって, 似ている場合と異なる場合があることを示唆している.
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