キュウリ果実の発育に及ぼすジベレリン A4+7 及びベンヂルアデニンの促進作用について
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概要
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キュウリの促成栽培や抑制栽培は, 低い気温や弱い日光など, 果実の発育に不適当な環境条件のもとで行なわれている. この時期は, 果実の生長が低下し,"ながれ果"とよばれる発育不良果を生じることが多い. このような時期のキュウリ果実の発育に及ぼす植物生長物質の作用を調べた.11月から翌年の2月まで, 大型ガラス室内で栽培されているキュウリ, 長日落合2号を用い, その主茎上で,当日開花した花の, 1個体の植物当り1個体づつの花の子房ヘジベレリンA3, ジベレリンA4+7, ベンヂルアデニンならびにインドール酢酸の水溶液を散布した. 1つの試験液ごとに, 10個体の花の子房を用いた. 2週間後, その子房の着果率, 果実の長さ, 直径ならびに重さを調査した.ジベレリンA3, ジベレリン A4+7 ならびにベンヂルアデニンは着果及び果実の発育を促進したが, インドール酢酸は促進を示さなかった. 特に, ジベレリンA4+7とベンヂルアデニンの促進作用は著しく, それぞれ100ppm濃度区の果長は, 対照区の2.5倍と2倍となり,重さは, 対照区の10倍と5倍になった. これらの促進作用は, 開花中はもちろん, 開花2〜3日前ならびに開花2〜3日後の花の子房に処理してもみられた.上の実験結果から, ジベレリンA4, A7あるいは或る種のサイトカイニンが, キュウリ果実の発育により強く関係していると考えられる. 更に, この実験結果は, 不適当な環境条件下で生じる果実の発育を抑制するなんらかの内的生理機構が, 外から与えた植物ホルモンによって除かれることを示唆している.
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