温州ミカンの担果能力に関する研究 : (第2報)落果波相の解析
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概要
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1. 15年生尾張系普通温州6樹を使用し, 各樹において直立•斜立ならびに水平主枝•亜主枝を選び, 個々の花に標識し, 落花果の様相を精密に追跡調査した.2. 6月8日における子房の横径で類別すると, 水平主枝上には7mm以下のものの比率がもっとも高く, 斜立主枝では7.1〜9.0mmのもの, 直立主枝上には9.1mm以上のものの比率がもっとも高かった.3. 子房の横径9.1mm以上のものの生長曲線はもっとも急速に上昇し, 収穫果率がもっとも高かった (52%). 7.1〜9.0mm のものの生長曲線は上昇が鈍く, 7月中旬ごろに落下するものが相当に多く, 8月3日の残存率は20.8%であった. 7mm 以下のものは6月中旬ごろに発育停止して落下するものが97%に達し, 8月3日の残存率は0であった.4. 各主枝上の残存果率 (開花時の花数に対して) の推移をみると, 水平主枝上の残存果率がもっとも低く,直立主枝上の残存果率がもっとも高かった.5. 無葉花の残存果率の推移と有葉花のものの推移を比較対照してみると, 無葉花の残存果率は早期に急降下しており, 最終残存果率も低かった.主枝のこう配別にみると,直立するものにおいては有葉花の残存率が高くて無葉花の残存率は低い, 水平主枝においては有葉花の残存率は比較的に低く, 無葉花の残存率は比較的に高かった.6. 満開時の花数に対する落花果率は, 6月中旬に最高の第一次ピークを, 第二次のピークを6月末に, 第三次のピークを8月下旬に現わしていた.7. 花 (果) 梗と子房の基部との二部位に分離帯があり, 初期には花 (果) 梗の基部の分離帯で分離が起こり, 後期には子房 (果実) の基部の分離帯で分離が起こる.初期 (第一次) 落花果は, 水平主枝において多く, 後期 (第二次) 落果は直立主枝において多かった.8. 有葉花と無葉花を比較対照してみると, 有葉花は無葉花よりも満開時においてすでに発育がまさっていた.無葉花は初期に落下し(第一次), 有葉花の落下は後期(第二次) にずれた.9. 樹体の担果能力を現わす指標として, 収穫果1果当たり14〜15葉 (開花時における調査数値) が得られた.
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