冬季ウンシュウミカンによる硝酸の還元および同化
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概要
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厳寒期における温州ミカンの硝酸還元, 同化およびたん白質合成能力を夏季におけるそれらとの比較において調べた.細根の硝酸還元力 (in vivo) は33°Cにおいて最高であった. 5°Cでは最高活性の1/4, 2°Cでは1/9の値を示し, 0.5°Cにおいても1/10の能力を保持した. 葉では5°Cで最高活性の1/4, 2°Cで1/7, 0.5°Cにおいて1/8の値を示した.厳寒期 (最低温度-4°C, 最高温度9°C, 平均温度2.5°C) に吸収された硝酸は集積することなく, 細根においてアミノ酸に同化された. 最も多く生成されたアミノ化合物はアスパラギンであって, ガンマーアミノ酪酸, アラニン, アスパラギン酸, グルタミン酸などがこれに次いだ. プロリンの生成は少なかった. このようなアミノ酸の生成パターンはプロリンを除くと夏季のそれに類似した. 一方, 葉においては, 厳寒期10日間に15Nを取込んで生成されたアミノ酸はきわめて少なく, アミノ酸合成の活発な夏期とは対象的であった.15Nの細根タンパク質への取込みは厳寒期においても確実に進行した. その程度は夏季の約1/10であった. またタンパク質に取込まれた15N-アミノ酸組成は夏季のそれと比較して明らかな差があり, 合成されるタンパク質のアミノ酸組成が厳寒期と夏季で異なることが示された.
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