カルシウム•シアナミド及びシアナミドがブドウ‘巨峰’の芽の休眠打破に及ぼす効果
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概要
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ブドウ‘巨峰’のガラス室栽植樹並びに1芽挿しを用い, 石灰窒素 (CaCN2として55%含有) の20%温水浸出液及びH2CN2塗布処理が芽の休眠打破に及ぼす効果を試験した.CaCN2をカラス室栽植樹に塗布した春先の発芽状況は12月, 1月, 2月の各処理区で, それぞれ16日, 9日, 5日の発芽促進となり, 休眠の深い時期の処理で発芽促進効果が高く, これまでの実験結果と一致した. 3% H2CN2処理区では同じ時期の処理で, それぞれ15日, 7日, 4日の発芽促進となり, CaCN2区と同じ傾向の休眠打破効果が認められた.一方, 切り枝の挿し木実験では, 12月中の置床でCaCN2並びに0.5%及び1% H2CN2処理区は2〜4日の発芽促進であった. 挿し木における発芽促進程度は栽植樹に比較してはるかに低く, また, 挿し木では2% H2CN2以上の濃度では薬害による枯死芽がみられ, 有効濃度は栽植樹の1/3〜1/6でよかった. これらのことは, 切り枝による強い創傷効果が休眠を浅くしたためと考えられた.切り枝の休眠を完了した2月下旬では, CaCN2及び1%H2CN2処理区においても薬害が発生した.本実験の結果からH2CN2はブドウ‘巨峰’の休眠打破にCaCN2と同様な効果があった. このことは石灰窒素水浸出液の休眠打破作用の主体が, CaCN2の部分的加水分解によって活性型のH2NCNを生じ, cyanide ion(CN-)として作用することを示唆する.
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