ブドウ‘マスカット•オブ•アレキサンドリア’の萌芽に必要な積算温度に影響を及ぼす低温の時期と程度
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概要
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ブドウの休眠芽萠芽するまでにどのくらいの積算温度が必要であるかを知るため, ガラス室に栽植されたマスカット•オブ•アレキサンドリアの成木を供試して, 低温にさらされる時期及び低温の程度萠芽に要した積算温度との関係について検討した.1. 加温開始日が遅く, 低温にさらされた期間が長ければ, 加温を開始してか萠芽するまでの積算温度が少ないのみならず, 加温を開始する前の11月21日を起算日とした積算温度においても明らかに少なかった. こ萠芽に要する積算温度は11月下旬〜12月下旬の低温によって大幅に減少したが, 1月上旬まで低温にさらしておくと, それ以上長期間低温にさらしてもほとんど減少しなかった.2. 11月21日から2月28日までの間を九つの期間に分けたとき, 各期間の平均室温と, それぞれの期間の翌日か萠芽日までの積算温度との単相関係数は1月上•中旬を境にして正から負に変わった. すなわち, 11月21日から1月10日までの間では, どの期間においても平均室温が低いとその期間が経過した後か萠芽日までの積算温度が相対的に少なく, 1月11日以降の期間ではいずれも平均室温が高いとその後萠芽日までの積算温度が相対的に少なかった.3. 11月21日から1月10日までの期間を旬別に五つの期間に分け, それぞれの期間に係数 (時期係数) を与え, 室温を階級幅2.5°C間隔の度数分布表にまとめ, その温度階級にも係数 (温度係数) を配分して,“時期別温度階級別時間数×時期係数×温度係数の和”(chill unit)を計算し, これ萠芽日までの積算温度との単相関係数を求めたところ, r=-0.968の極めて高い負の相関があった. したがって, 時期別温度別経過時間に重み付けをした chill unit を用いれば, 12月以降の任意の加温開始日か萠芽日までの積算温度をほぼ正確に推定することができるものと思われる.
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