イチゴ果実の糖度および酸度の遺伝
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概要
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5組合せのF1世代におけるイチゴ果実の糖度, 酸度の遺伝ならびに糖度, 酸度と他の形質との関係について検討した.1. 糖度の組合せにおける頻度分布では, 各組合せとも大部分のF1個体は両親の分布範囲内にあり, 高糖度間の組合せでは高糖度の個体が多かったが高糖度側で親の範囲を超えた個体は認められなかった.2. 糖度では組合せによって多少異なるが, 低糖度形質は部分または不完全優性と考えられた.3. 酸度の各組合せにおける頻度分布では, 高酸度×低酸度の組合せの場合は低酸度側に偏った分布を示し, 低酸度間の組合せでは高, 低両側で親の分布を超えた個体が認められた.4. 酸度の場合は, 組合せによっては高酸度形質にヘテロシスが認められたが, 低酸度形質が部分または不完全優性と考えられた.5. 糖度, 酸度ともに広義の遺伝力は高かった.6. 糖度と株当たり収量との間にはr=-0.33**--0.62**, 糖度と単位葉面積当たり収量との間にはr=-0.43**--0.70**の比較的高い相関関係が認められ, 組合せによってその程度は異なるが, 収量の高い個体または単位葉面積当たり収量の高い個体は糖度が低い傾向が認められた.7. 酸度の場合は糖酸比との間に高い負の相関関係が認められ, 酸度と株当たり収量および単位葉面積当たり収量との間には, 負の相関関係が認められたが糖度でみられたほど密接ではなかった.8. 糖度と収量等との関係からみて糖度が高く食味良好な品種の育成においては, 糖度, 酸度等の果実形質だけでなく, 葉面積, 草丈, 収量などの形質を考慮にいれて選抜する必要があると考えられた.
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