常温でのCA貯蔵条件下における青ウメ果実の生理と品質変化
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概要
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収穫時期の異なる青ウメを, 流通期間に相当する3日間, いくつかのCA条件下25°Cで貯蔵し, 貯蔵中の酸素の取り込み量ならびに発生ガス量と, 大気に開放後の青ウメ果実の品質変化を調査して, CAガス組成との関連を考察した.<BR>1.青ウメ果実の生理的変化は, 収穫時期によって大きく異なった. 大気通気区の収穫晩期の果実では,収穫後3日間における酸素の取り込み量は早期の果実の約2倍となり, エチレンの発生量も5倍になった.CA貯蔵終了時および大気開放4日後の障害や腐敗は晩期の果実に多く発生した.<BR>2.高酸素濃度下での高濃度の二酸化炭素は, 青ウメ果実の酸素取り込み飛とエチレン発生量を抑制した.また, 低酸素濃度条件によりエチレンの発生は著しく抑制され, 酸素の取り込み量も抑制された. しかし,二酸化炭素を含まない低酸素濃度条件では, CA貯蔵中あるいは大気開放後の果実に生理障害が発生した.<BR>3.低酸素•高二酸化炭素濃度通気区では, 通気旦を増やすと酸素の取り込み量と二酸化炭素の発生量が増加した. しかし, 通気量が増加するほど, また低酸素濃度条件ほど, アセトアルデヒドやエチルアルコールの発生量が増加し, 褐変障害果も多くなった. このため, 青ウメの嫌気呼吸や障害の発生は, 酸素および二酸化炭素の濃度に強く依存するものと考えられた.<BR>4.褐変障害果は酸素濃度0.3%二酸化炭素濃度8%区の果実に多くみられ, PhODおよびPOD活性はともに低く, またクロロフィルの含量も低かった. このため, 褐変障害は嫌気呼吸によるアセトアルデヒドやエチルアルコールなどの代謝産物が蓄積した結果,果実組織が壊死したために生起したものと考えられた.<BR>5.本実験の結果, 熟度の異なる青ウメが混在する常温流通時の鮮度保持には, 大量に発生するエチレンの除去と低酸素•高二酸化炭素濃度条件の構築が必要であり, 酸素濃度は2%程度が下限であると考えられた.
著者
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小役丸 孝俊
レンゴー株式会社中央研究所
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小田 圭昭
山形大学農学部農芸化学科
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小役丸 孝俊
レンゴー (株) 中央研究所
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安達 憲司
レンゴー (株) 中央研究所
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〓田 和宏
レンゴー (株) 中央研究所
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迫田 直一
レンゴー (株) 中央研究所
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小田 圭昭
山形大学農学部
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