草花の探種に関する基礎的研究 (第2報) : サルビアの種子の成熟に就いて
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概要
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1) サルビア採種の基礎的研究として1951〜52年に結実種子成熟過程に就いてその果実の外観的観察並に種子発達殊に胚及び胚乳発育の解剖的観察を関連的に行い併せて各成熟程度の種子の粒重並に発芽能力を調べた。2) 果実は受精後先ずその長さに於て次いで幅に於て急激に発育して開綻時子房の凡そ2.4倍に達した後稍縮小するが, 厚さは徐々に増加し着色終了時には開綻時の約2倍となる (第1図参照)。而してその色彩は最初白色であるが長さが最大となる頃に光沢を増して稍半透明にみえ, 次いで灰白色を経て頂部附近から臍部に向つて褐色斑を現わし3〜4日間で着色を終了して全面褐色乃至黒褐色となる (第1表参照)。3) 一方果実内に蔵せられる種子は受精すると最初胚乳が急激に発達し, 次いで胚の発達が進められて果実の着色終了と時を同じくして形態的に完成されその後は専ら肥大する。 而して胚乳組織は胚の完成後には破壊乃至圧縮されて胚と子房壁面との間隙に僅かに存在するにすぎない (第2図参照)。4) 種子成熟は早期開綻花に於て早く, 3月下旬開綻のものでは開綻後14日, 9月上旬開綻のものでは開綻後20日, 中旬開綻のものでは開綻後23日で胚は形態的に完成されるが, 下旬及び10月上旬開綻のものでは降霜迄に完成されない (第1表参照)。5) 成熟過程の各時期に収穫した種子の粒重並に発芽能力は, その果実が灰白色期に収穫したものは千粒重2.2〜2.6gで平均7.4%発芽し着色開始時収穫のものば千粒重2.78gで21%発芽するが, 着色開始後その過半部分が既に着色し尚着色進行中のものでは千粒重3.9〜4.0gで63.8%発芽し, 着色終了時収穫のものでは千粒重3.9gで72%発芽した。更に着色終了後5日を経て収穫したものは千粒重4.33gで88%発芽した(第2, 3, 4表参照)。6) これ等の結果からサルビアの種子はその果実の着色終了と同時に胚の形態は完成され, 従つてこの時期を以て種子成熟の標徴となすべきであるが尚発芽率を優良ならしめんがためには更に数日間充分完熟せしめることが望ましい。7) 且つ9月下旬以後に開綻する花はその胚が完成されず発芽が期待されないから採種から除外しなければならない。
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