草花の採種に関する基礎的研究 (第1報) : サルビアの開花結実習性に就いて
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概要
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1. サルビア採種の基礎的研究として 1950〜52年に北海道に於て普通栽培を試みその開花結実習性を観察した。2. 花穂数は第3次側枝花穂が最も多く第2次側枝花穂これに次ぎ共に30〜40本以上であるが第1次側枝花穂は12〜13本, 更に主枝花穂は1本である。3. 花穂の着花節は主枝, 第1次側枝及び第2次側枝着生のものは大きく19〜22節で60花以上着けるが, 第3次側枝着生のものでは小さく14〜15節で45花を着けるにすぎない。4. 着生花は各花穂の約3/4以下の節 (花穂の長さの約2/3以下の部分) に多く上部に少い。これは上部数節では中央花のみ着生し側花を欠くためである。5. 1日の開綻数は8月下旬第2次側枝花穂開花中及び9月中旬第3次側枝花穂開花中に最も多く, 8月中旬以前及び10月には極めて少い。6. 着生花の開綻は中央花と側花と別個の順序で行われ, 中央花の開綻は同節の側花より数日乃至十数日以上早く行われる。而してその日数差は花穂の上節に進む程大きく又気温の低い時期には拡大される。7. 結実率は概して9月, 就中その中旬には最も高いが8月及び10月には低い。而してこの傾向は3ヶ年間のうち8月上, 中旬に平均気温の高かつた50年に於て最も顕著であつた。8. 結実率は花穂上に於ける花の着生位置によつて大差があるとは考えられないが, 花穂開花期の終末に開綻する尖端部2〜3節の中央花及び上部2〜3節の側花に於て不良の場合がある。9. 降雨日開綻花の結実率は著しく低下した。10. 結実種子の成熟は開花結実期の早いものほど早い。即ちその着色完了が早く又短期間に落粒する。しかし9月下旬以後開綻花の種子は降霜迄に着色せず, 又9月中旬開綻花の種子は着色完了するが降霜前に落粒しない。11. これ等の習性からサルビア採種は秋の平均気温が15〜20°Cで長期間に亘り且つ日中降雨の少い地方に適するものと考えられる。12. 又その採種方法は繁雑となることを余儀なくされ, 収量の減少をもたらすことなく而も未熟種子の混入を阻止するためには労力の増加を避け難いが, 結実の適期に最大開花期があう様に栽培管理し且つ花穂の着花密度の高い部分に於て採種することが最も能率的であると考えられる。13. 札幌地方では8月下旬頃出来るだけ多数の第2次側枝花穂を, 次いで第3次側枝花穂を抽出せしめ, 一齊に開綻開始せしめる様に栽培すべきで, 又9月下旬以後に於て開綻すべき花は除外することが望ましい。
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