石鹸の藥害に就て
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概要
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1. 供試した10種の純粹脂肪酸のカリ鹽の影響は飽和脂肪酸ではカプリル酸 (C8), カプリン酸 (C10) が藥害著しく, ラウリン酸 (C12) 以上になると全然藥害なく, 又C18の脂肪酸ではステアリン酸は藥害なく, オレイン酸, リノール酸, リノレン酸の順序に不飽和の度の高いもの程藥害の程度が激しくなり, 高級 (C22) 高度不飽和酸である鰛酸の藥害はほぼオレイン酸のそれに等しい。2. 天然油脂から製した5種のカリ石鹸の作物に對する害作用は椰子油, 亞麻仁油, 鰛油棉實油, 椿油の順序で, 低級脂肪酸の比較的多い椰子油は最も藥害著しく, 不飽和脂肪酸を多く含む亞麻仁油が次ぎ, オレイン酸を主成分とする椿油は最も藥害が少ない等, その結果は油脂の脂肪酸組成から推定せられる程度とほぼ一致してゐる。3. 遊離苛性ソーダ, 苛性カリ, 炭酸ソーダの安全限界はいづれも溶液中0.1乃至0.2%の間にあると認められるが, 實際問題として遊離苛性ソーダ, 苛性カリの含量は市販石鹸では極く低いからその多少は藥害と殆んど關係なく, 粉末石鹸では炭酸ソーダの含量の多いものは危險で, なるべくその含量の低いものが農用石鹸としては望ましい。4. 園藝作物の種類としては葡萄及び豆類が石鹸に對して比較的弱く, 又一般に組織の軟弱な部分が害を受け易い。撒布時及び撒布後の外的條件は藥害の程度に殆んど影響がない樣である。
著者
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