先進技術の導入・普及政策における「メタガヴァナー」の役割とその限界 : 燃料電池自動車(FCV)の事例を素材として
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概要
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先進技術を社会に導入し普及させていく際には特に,官民のネットワークでの役割分担が重要となるが,近年,そうしたネットワーク型ガヴァナンスを管理・運営する「メタガヴァナー」の役割が注目されている.本研究では,そのメタガヴァナーの存在を既存のガヴァナンス理論の中に位置付けるとともに,それを日本における燃料電池自動車(FCV)政策の事例にあてはめ,同政策においてメタガヴァナーが果たした(果たすべき)役割とその限界について検討する.本研究では,第1に,先進自動車技術の動向には技術的・社会的不確定要素が多く,メタガヴァナーにさえ的確な資源配分が困難になり得ること,第2に,メタガヴァナー自身が,別の文脈からくる政治的な環境変動や撹乱要因に翻弄される恐れがあること,第3に,ネットワークの管理・運営に必須であるメタガヴァナーのモティヴェーションはしばしば属人的であって,人事異動等により政策そのものが断絶し得ること,を事例研究を通して指摘し,同様の政策を進めるに当たっては,そうした外的要因への注意が必要であることを説明する.
- 社会技術研究会の論文
著者
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村上 裕一
東京大学大学院法学政治学研究科 総合法政専攻
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横山 悠里恵
東京大学大学院 公共政策学教育部
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平石 章
東京大学大学院 公共政策学教育部
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村上 裕一
東京大学大学院 法学政治学研究科
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村上 裕一
東京大学 大学院公共政策学連携研究部
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