イネ葯由来の三種の細胞培養法によって得られたソマクロナル変異の系統的解析
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概要
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イネ育種への利用を目指して葯由来の三種の細胞培養法, すなわち葯培養一段階法, 通常の二段階法, プロトプラスト培養, で生じるソマクロナル変異について比較しながら系統的に解析した. A2世代で見られたソマクロナル変異の頻度は, 培養期間の長さに比例して葯培養一段階法, 二段階法, プロトプラスト培養の順に高くなり, プロトプラスト培養では95%に達した. 再生植物の倍数性も同様の傾向を示し, プロトプラスト培養では四倍体の割合が22%と高かった. 生じたソマクロナル変異の種類は, 三種の培養法とも稈長と毛性に関するものが普遍的で, 二段階法とプロトプラスト培養では次いで穂数や種子稔性に関するものが多く見られた. 各々のソマクロナル変異は方向性を持っており, たとえば稈長では短稈化, 毛性では減少を示している. また, プロトプラスト培養に特異的な変異は観察されなかった. 特筆すべきは, 無毛性のソマクロナル変異が高頻度に生じたことである. 無毛性は機械化に適する有用な変異であるが, 今までに報告例がなく, 本研究の結果, 葯培養あるいはプロトプラスト培養によって無毛性変異が効率よく誘導できることがわかった.
- 日本植物細胞分子生物学会の論文
著者
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西川 晶
住友化学工業(株)生命工学研究所
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広原 日出男
住友化学工業(株)生命工学研究所
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副田 康貴
住友化学工業(株)宝塚総合研究所
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山本 俊哉
住友化学工業(株)宝塚総合研究所
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西川 晶
住友化学工業 (株) 宝塚総合研究所
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山本 俊哉
住友化学工業 (株) 宝塚総合研究所
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広原 日出男
住友化学工業 (株) 宝塚総合研究所
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副田 康貴
住友化学工業 (株) 宝塚総合研究所
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