Campylobacter jejuniのブロイラー農場における汚染とPolymerase Chain Reaction法による検出に関する基礎的研究
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概要
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Cmpylobacter jejuni(C.jejuni)は、ヒトの下痢症の起因菌として重要な位置を占めている。本研究では、ブロイラー農場における本菌の浸潤状況およびブロイラーへの感染経路について調査を行った。調査を行ったプロイラー農場の糞便101検体中67検体(66.3%)からC.jejuniが分離され、これらの血清型は散発性下痢症および食中毒からの分離率の高いものであった。C.jejuniのブロイラーへの感染経路についての調査はこの農場の3つの鶏群について行った。A群はウインドレス鶏舎で、作業員は鶏舎に入る際履き物および作業服の交換を行った。B群、C群は開放鶏舎で、履き物のみの交換を行った。C.jejuniは1週齢時には全く分離されなかったが、B群、C群では3週齢以降の全サンプルから継続的に分離された。A群では4週齢時2羽、7週齢時1羽からC.jejuniが分離されたのみであった。これらの血清型はJ-5が大半を占めた。C.jejuniの分離は、J-5に汚染されているH鶏群の出荷後であった。また出荷の際、作業員は作業服および履き物の交換を行っていなかった。C.jejuniの経時的分離状況、分離菌の血清型から本菌は作業員を介して伝播するものと考えられた。C.jejuni検出にPolymerase Chain Reaction法(PCR)を応用したところ、flaellin A遺伝子(fla A)から設計したプライマーセットによりC.jejuniの特異的検出に成功した。ニワトリ敷料中の検出限界は102.0CFU/gであった。血清型別試験用菌株のPCR産物を用いて制限酵素MboIによる分解を行ったところ、4つの切断パターンが得られた。Type-1と2は既報のfla Aと判断され、C.jejuniは制限酵素断片長多型(RFLP)によって少なくとも4つのタイプに分けられる可能性が示唆された。Liorの血清型別とPCR-RFLPとの相関についてLior4、Lior6、TCK12及びLior7の菌株を用いて実施した。この結果、本研究で見いだされたPCR-RFLPとLiorの血清型別結果との間に一致性が確認された。今回設計したプライマーセットを用いたPCR-RFLPは、本菌の疫学調査ならびに食中毒の原因食を決定する上で有効な手段であると思われた。
- 日本家畜臨床学会の論文
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