牛の胚移植と人工授精における胚早期死滅の発生率の比較
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概要
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1985年から1988年の4年間に、小岩井農場に飼養されているホルスタイン種経産牛の一牛群(220頭規模)で胚移植(ET)と人工受精(AI)を行い、受胎したそれぞれ132例、628例について妊娠約30日から90日の間に発生した胚早期死滅(EED)の発生率、発生時期、発生原因を比較検討した。<BR>ET群の一部では、血中プロジェステロン(血中P値)を調べ、直腸検査の結果と比較した。その結果、ET群では受胎132例中15例(11.4%)、AI群では628例中27例(4.3%)で受胎30日から90日の間にEEDが発生した。ET群における発生はAI群よりも有意に多かった(P<0.01)。EEDの発生は30日から60日の間に多かった。死滅胚が発見できたのは、EEDの10%(5例)であった。発生原因が特定できたのは、ET群の1例で、47日目に重篤な乳房炎に陥ったものであった。またAI群の2頭は、同じ産次に3回(うち1回は150日流産)と2回EEDとなり、習慣性と考えられ、受胚牛選定条件にEEDの経歴も考慮することが重要と考えられた。本研究のEED例にウィルスが関与していることは否定的であった。
著者
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