双胎出産頻度の生態地理学的研究
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概要
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1951∼1967年のわが国人口動態統計を用いて,双胎出産頻度を観察した。双胎の卵性は,Weinbergの分差法により推定した。卵性推定が可能な1955∼1967年の全国双胎頻度は,総出産件数23,643,348に対し双胎件数は151,709で,出産1,000対6.42,一卵性は4.16,二卵性は2.26であった。卵性別,都道府県別に観察可能な1955∼1959年について,都道府県別に双胎出産頻度を算出した。これらについて,1960∼1967年わが国出産統計からもとめた母出産年令別卵性別双胎出産頻度を用い,間接法により標準化を行った。地域差をみると,双胎出産頻度は,東北地方を中心とする東日本に高く,西日本に低い傾向がみられた。この傾向は,一卵性よりも二卵性双胎出産頻度において,より顕著であった。46都道府県の二卵性双胎出産頻度と年間平均気温,同最高気温,同最低気温とは,高度に有意な負の相関関係を認めた。また,脳卒中訂正死亡率とは,0.706の高い相関係数がえられた。これらの結果から,双胎出産頻度,とくに二卵性双胎出産頻度へ及ぼす気候の影響が示唆された。
- 日本衛生学会の論文