脳血管疾患死亡率を異にする都鄙住民の血清カルシウム・マグネシウムと身体状況に関する研究
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概要
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脳血管疾患死亡率が高い東北地方の2つの内陸水田単作農村(農村H, U)と低死亡率を示す都市(市部S)の3地区住民を対象として血清カルシウム・マグネシウムのレベルおよび身体状況について比較検討し,下記の所見を得た。(1) 血清カルシウムレベルは男女とも農村住民が都市住民に比較して低いことを認めた。(2) 血清マグネシウムレベルには3地区間に差を認めなかったが,女の血清マグネシウムレベルは男に比して高い傾向を示し,とくに農村では両性間の有意差を認めた。(3) 血清カルシウム・マグネシウムレベルの季節変動を,農村Uの夏(7月),冬(2月)ともに受検した同一対象群について検討した。血清カルシウムレベルは男女ともに夏季より冬季に有意に高く,マグネシウムレベルは夏季より冬季に低い。とくに女ではその差の有意性が大であることを認めた。(4) 身長,体重,皮脂厚,全血比重を指標とした場合,農村住民の体位は都市住民に比して有意に低い。(5) 血圧レベルは最大血圧および最小血圧ともに有意な地区差を認めない。すなわち3地区住民の血清カルシウムレベルは脳血管疾患死亡率と良く相関している。この所見および既報の栄養調査成績より,東北地方農村住民にみられる血清カルシウムレベルの低下はカルシウム摂取量不足に由来するものであり,脳血管疾患多発の一要因となっていると結論される。
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