アカスジカスミカメStenotus rubrovittatus (Matsumura)(カメムシ目:カスミカメムシ科)の交尾による精包の形成および雄性生殖付属腺の形態変化
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概要
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アカスジカスミカメの最初の交尾による生殖器官の形態変化を調査した.羽化後5日の飼育個体を用いた観察の結果,交尾直後の雌では交尾嚢が膨張し,その内部に,未交尾雌には見られない球状の頭部と尾部を持つ白色の精包が存在した.精包の頭部内には精子が観察された.交尾後経過日数と精包の存在および状態との関係を調査した結果,交尾直後および交尾後1日では全ての雌に精包が存在し,その90%以上が球根状の精包であった.交尾後3日から7日までに,精包を保有する雌の割合が93%から30%に減少し,存在した精包の多くは頭部が収縮した杯状の精包であった.交尾後1〜7日の雌では,96%以上の個体で側輸卵管内に精子が観察された.既交尾雌を70%エタノール水溶液に浸漬して,3〜4週間保存した個体を用いた観察でも,雌生体を解剖した結果と同様に精包が存在した.雄の生殖器官の観察の結果,未交尾雄の生殖付属腺内には白濁部分が存在したが,交尾後0日の雄では腺内にこの白濁部分が無く,付属腺の長さが未交尾雄より有意に短くなった.以上の結果から,交尾時に雄の付属腺分泌物が精子と共に雌の交尾嚢内に送られ,精包が形成されると考えられる.また,本種の雌で精子および精包の有無を用いた交尾経験判定が可能であると考えられる.
著者
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