フタル酸ジブチルおよびその代謝物の毒性に関する研究
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概要
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ラットにフタル酸ジブチル(DBP),フタル酸モノブチル(MBP),フタル酸(PA)およびフタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DEHP)の各々0.5%又は5%含有粉末飼料を34∼36日間与え,各化合物の毒性比較を行った。DBP,MBPおよびDEHPの5%投与群では,成長抑制,肝肥大,精巣萎縮,肝ミトコンドリアのコハク酸およびピルビン酸脱水素酵素活性低下,血清生化学検査における異常所見,肝および精巣の組織変化がみられた。このような変化の一部は0.5%投与群にも軽度ながら認められた。しかしPAは5%投与群でも何らの変化もみられなかった。肝細胞の電顕所見においてはMBPよりもDBP投与による影響の方が著しかった。又,in vitroにおいて,DBPは正常ミトコンドリアのコハク酸脱水素酵素活性を著しく低下させたが,MBPにはそのような作用が認められなかった。呼吸活性に対しても両化合物間に同様の相違がみられた。以上の成績はDBPの経口毒性が代謝産物であるMBPおよびその後続酸化物によるものの他に,少なくとも肝に対しては,未代謝のDBP自体による影響も存在することを示している。
- 日本衛生学会の論文
著者
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樋口 富彦
徳島大・薬
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樋口 富彦
徳島大・薬・微生物
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樋口 富彦
徳島大学 大学院ヘルスバイオサイエンス・分子細胞薬品学
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樋口 富彦
徳島大学薬学部
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西山 敬太郎
徳島大学医学部
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村上 憲司
徳島大学医学部衛生学教室
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